捨て猫太郎のすくすく日記 2

6月1日 「太郎のお手伝い」

虫下し、食欲停滞…と心配の種ばかりだったのに、 昨日体重を量ったら一気に60グラム増の1100グラム。

今日は1120グラムとまずまずの状態。

今日は湿度が低く、とても気持ちの良い日。

太郎は春物と夏物の入れ替えをしてる私のところへ来て、 頼みもしないのにお手伝い。

次々と、重ねた洋服の小山を崩しては逃げていく。

そのうち洋服が入っていた袋の接着剤が足にぺたっとくっつき、 「足を食われた!!」と大騒ぎ。

それがよほど怖かったのか、お手伝いはそこで終わった。

気持ちよい風が入ってくる日本間の畳の上で、べたっとうつぶせで 手足を伸ばし長いシエスタ。

でも仕事部屋でダンナがシュークリームを食べ始めたら、 すぐに飛んできて、おめざめのオヤツ。

ごはんは残すのに、こういうオヤツには相変わらず積極的。

この分なら、次の通院予定日までは大丈夫だろう。

6月2日 「乳母計画、失敗」

昨日タグちゃんと江坂で夜中まで大遊びしてきた私は、 久々の二日酔い気味。

でも4時半頃に太郎に起こされ、 ガンガンする頭で、届いたばかりの朝刊を日曜の早朝から読むはめとなった。

なぜか新聞が大好きな太郎。

人が読んでいる新聞の上に わざわざ乗ってきては、新聞を食いちぎり、ひっかき、寝ころぶ。

寝ころんだままで新聞がめくられていき、ぐるぐる巻きにされるのも大好き。

2時間ほど新聞遊びをして許してもらい、寝室に戻ったら 一緒についてきて枕元で再び二度寝につき添う太郎。

いまや私のタイムスケジュールは、すべて太郎の意志によるのであった。

午後はダンナが太郎と7匹の猫たちを一緒に遊ばせてくれた。

ガンゾウ、ブンゾウ、ベンゾウの3ばか息子チームは、 のほほんとしていて、太郎がいても特に気に留める様子なし。

片や、ゴンゾウ率いるハーレムチームは、反応がばらばら。

ゴンゾウやメロンは、まだ結構敵意むき出しで、 コロンは遠巻きにして近寄らず。

ノンちゃんは「まぁ、この子はなぁに?」といった感じで、 さすがに5匹の猫を産んだだけあって、お母さんぽい。

でも逆に太郎の方が「ハァー、フッフッ」と威嚇するので、 ノンちゃん乳母計画は失敗に終わった。

今日の体重は1140グラム、食欲はまぁまぁといったところ。

 

6月3日 「悪童、太郎」

以前から太郎の得意技のひとつに「トイレの石出し遊び」がある。

他のおもちゃにはその時によって関心を示さなかったりするのだが、 このトイレの砂(紙でできた小石状のもの)だけには異常な執着を見せている。

毎朝掃除機をかけてもかけても、その隣でこのトイレ石を出す作業を もくもくと続ける太郎。

「こらっ、太郎」と声が一段と大きくなる私。

ダンナに、どうにかしてくださいと言うと、 マックに向かったまま「教育は君にまかせてある」とひとこと。

むかつく。

私がトイレで太郎と格闘していて、太郎がぴゅーと逃げ出す時に ヘンナ声色で「なんだ、おばば」と追い討ちをかけるダンナ。

でもダンナにも大きな弱点がある。

それはマック類の後ろにある、複雑怪奇に絡まったコード類。

太郎はこのエリアも大好きで、コードのかたまりに突進していくたびに、 「ああっ、太郎やめてくれ」と悲痛な叫びを上げている。

ふふふふふ、いいぞ太郎。

太郎、今日の体重は1150グラム。

やっぱり抗生物質をやめてから、あまり体重が増えていないようだ。

 

6月4日 「初めての注射」

おなかの虫も大体出たようなので、 ワクチンを打ってもらいにY動物病院へ。

掃除をしても耳の中が汚れるので、耳の状態も調べてもらう。

すぐに調べてくれた先生、顕微鏡から顔を上げるなり、 「やっぱり耳ダニがいますね、歩いているけど、見ますか?」とおっしゃる。

のぞいてみると、うん、確かに歩いている。

あの小さな汚れの中にいるんだなぁ、こんなのが。

太郎はすぐに薬を2滴耳に入れられ、 耳の下をもまれたが、くちゅくちゅという音が聞こえてきて、 ちょっとびっくり。

たった2滴なのに、すごい音がする。

この薬は成虫にしか効かないので、卵がかえるペースに合わせて 2日に一度今のようにして薬を入れることになった。

そしていよいよ注射。

先生は前回の通院の時からの様子を聞きながら、 体を見てくれ「うん、これなら大丈夫ですね、打ちましょう」となった。

太郎、生まれて初めての注射、私の方がドキドキしてしまう。

前足を抑えるように言われ、すぐ真下に太郎がいるのだけれど、 針が刺す瞬間から目をつぶってしまった。

ごめん、太郎。

でもその瞬間「にゃ…」というつぶやきのような声と共に、 体をもぞもぞさせて、いやいやをしてるのがわかった。

注射をしたのは肩甲骨の間のあたり。

コブのようになることもあるので、 3日間ぐらいはよくもんであげてください、ということだった。

病院からの帰り道、泣き声のような「ふにゃぁ、ふにゃぁ」という 情けない声がかごから聞こえ、 家につくなりお眠りカゴで結局夜まで寝てしまった。

それにしても、太郎は病気が多い。

うちで生まれた5匹は別としても、ゴンゾウ・ノンちゃん夫婦も それぞれ捨て猫時代に私が拾ってきたのだけど、 子猫の時に病院に行ったのはせいぜいワクチンを打ってもらう時と、 その後避妊や去勢の手術の時ぐらいだった。

生まれた5匹も大きくなってから、尿道結石をした子がいたりしたけど、 子猫の時にこんなにいろいろな病気は持っていなかった。

多分、捨てられてからの期間が長かったのだろう。

目ももう一日見つけるのが遅かったら、失明していたかもしれない。

目がずっとくっついた状態でいると、目や目を覆っている膜が菌に侵される。

そうなるともう取り返しがつかなくなってしまうらしい。

今はちゃんと見えてもいるし、目やにもないが、 他の猫たちとは膜の色が違うから、多少はその影響が残っているのだろう。

 

6月6日 「復活」

おとといワクチンを打ってから、ずっと大人しかった太郎。

昨日もごはんは残し気味で、ずっとぼんやりしているか、眠っていた。

でも今朝、いきなり4時過ぎぐらいからの顔噛み攻撃に始まり、 パワー全開状態。

久々にごはんもペロリと平らげ、復活した。

普段はダンナにもいろいろ攻撃をしかけるのだが、どういうわけか 朝はいつも私だけを標的にして、 顔の小鼻やあごを小さな鋭い歯でかみつく。

最初はあま噛みだが、私が起きないとだんだん強くなり、最後は 歯の跡がつくくらい、思いきり噛む。

太郎との戦いに負け、 私がぼぉーっとしたまま起き上がると後を付いてきて、 今度は一転、猫なで声で体をスリスリしながらごはんコール。

太郎のご飯は、最近は猫缶に幼猫用のドライフードを混ぜたもの。

缶詰めは冷蔵庫に入れてあるので、 少しレンジで人肌程度にしてから食べさせる。

そしてさらにその1時間ぐらいあとに、 バターをたっぷり塗ったトーストを召し上がり、 10時半ぐらいにはダンナとその日のおやつを食べる。

そしてその後はしばらく眠り、12時にお昼ごはん。

3時か4時ぐらいにおやつがある時はそれも食べ、 夕方6時半頃に晩ご飯。

以前はさらに夜10時頃にも夜食を食べていたが、 ここ10日ほどはそれほど欲しがらなかったので、 今は1日3食プラスおやつ2回というわけ。

体重はそれほど変わっていないが、 ウエストだけ成長を続けるダンナなので、 最近はおやつは控えめだったのだが、 太郎が来てからは買い物に行くと ついついシュークリームやケーキを買ってしまう。

この分だと太郎と平行してダンナの腹も成長を続けるのだろう…。

 

6月7日 「1ヵ月経過」

我が家の暮らしに太郎が参加して、今日でちょうど1ヵ月。

この間にあったことを思うと、もう半年ぐらい経った気もする。

今のところ病状は治まっているし、体重も来た頃の約3倍。

ずっとこのままうまく育ってくれるといい。

子猫は久しぶりなので、忘れてしまっていることも多いし、 万全とは行かなかったと思うが、太郎自身がよく頑張ったから、 こうして元気に大きくなってきたと思う。

太郎に、花マル。

耳ダニの具合は良くもなし悪くもなし、といったところ。

先生に薬を入れる以外はあまりさわらないように言われているので、 綿棒でのお掃除はしていない。

そのせいか耳の中は黒いゴミのようなものが 目立つが傷つけると別のバイ菌も繁殖するそうなので仕方がない。

この耳ダニもうつるので、他の猫とはまたあまり接触させていなかったのだが 太郎が恋しそうに猫部屋を見るので、朝1時間ほどダンナ立ち会いで 一緒に遊んだ。

太郎はガンゾウのことが、大好き。

やくざ歩きをしながら、さかんにガンゾウに寄っていっては体当たりをする。

太郎の病気がかなり良くなったら、 ガンゾウと2匹でチーム編成できるかもしれない。

 

6月9日 「噛み噛み太郎」

日曜日だというのに、相変わらず我が家は仕事。

それにどうやら梅雨に入ったらしく、 じめじめとした天気が続く。

そんな中でもうちでいちばん元気なのは太郎。

砂だし攻撃、網戸クライミング、新聞破りと、 太郎の得意技はますます磨きがかかる。

抗生物質をやめてから少し目やにが出るが、以前のような四六時中と いうわけではないので、まずは安心。

太郎のおかげで、日曜日でも朝6時過ぎに起きるという超健康的な我が家だが、 いつもの朝の噛み噛み攻撃を今日初めてダンナも経験した。

あごの辺をガブっと思いきりやられたらしく、 初めてその威力を体感したようである。

いつも私を噛んで起こす時は、最初あごや頬を軽く噛み、それでも起きないと 「目を開けろ」というつもりなのか、まぶたをカプっと噛む。

痛いには痛いのだが、太郎なりに気を使ってるのか、跡が残るほどではない。

でも今日のダンナのあごには、しっかり歯形がついていた。

うふふふ。

太郎、今日の体重はジャスト1300グラム。

耳ダニはお薬が効いてきているのか、少しずつだが良くなっている。

 

6月11日 「好物」

焼き魚にもお刺し身にも、さして興味を示さない太郎。

でもトーストには、今も目がない。

遠くにいてもトースターからパンを取り出すと、 どこからともなく走ってやってくる。

そしてダンナの片膝の上に座り、机の上には乗ると叱られるので、 前足だけを乗せて思いきり上半身を乗り出し、 早く早くとダンナをせかし、ハグハグとまだ熱いトーストを食べまくる。

それにシュークリーム、ワッフル、ショートケーキにクレープ、 とにかく 小麦粉やバター、卵、生クリームでできているものは全部大好き。

ダンナが言うには 太郎がうちで初めて口にした食べ物はシュークリームだという。

拾って帰った時、 とにかくおなかをすかせているだろうと牛乳を口に含ませても、 ぺろりともしなかった。

でも、ダンナが多分食べないだろうと口元に持っていったシュークリームは 手探りで探しながら食らいついてきたらしい。

「これ、おいしい!」と、 太郎の頭のどこかに、その時インプットされたのだろう。

その日以来、お魚の匂いには別に反応しないが、コレ系のものには いつもアンテナが張りめぐらしてあって、ピピンと反応する。

その、最初に口にしたものが別のものだったら、 それが太郎の好物になっていたのだろうか。

それともダンナが言うようにこの子は、外国人なのだろうか (大体、その発想がじじいっぽいけど)。

諸説がうずまく中で、太郎の体重は1350グラム。

その何分の一かは、 バタートーストやシュークリームのたまものかもしれない。

 

6月13日 「梅雨」

また少し目やにが出るようになった。

食欲は旺盛だし、元気もいいのでしばらく様子を見てみることにする。

いかにも梅雨という感じの日が続き、太郎も他の猫たちも なかなか外遊びができない。

この時期私たちも何だかだるくて体調を崩しがちだが、 猫たちにとってもあまりいい時期ではない。

何年か前にゴンゾウのあごにカビのようなものができて、 それがかゆいらしく、引っ掻いてはカサブタができてまた引っ掻く、 というのを繰り返して 毛も抜けて痛そうにしていたが、それもこんな時期だった。

ケンカしてできた小さな傷がぷっくり腫れてしまったり、 夏のために抜ける毛を飲み込んでは吐いたり…。

強い冷房も良くないが、この湿度の高さも良くなくて頭の痛いところ。

それに太郎はそれでなくても暑がりで、こんなふうに暑くなる前から うちの中のヒンヤリとしたところばかりを選んで寝ていた。

たまにクッションの上で寝ていても、いきなりヨロヨロと立ち上がって フローリングの冷たい床へ行って、ドタンと倒れるようにして眠る。

ひざ掛けやタオルなどを掛けられるのもダイキライ。

おばかなダンナは猫たちをつかまえては、 「オイ、暑苦しいから毛皮を脱ぎなさい」と意見しているが、 猫たちはとても迷惑そう。

でも、これは夏が近づいた時の、いわば定例行事。

猫たちや私は、毎年毎年同じこと言って…、と思いながらも ああ、夏がきたのだと実感するのです。

 

6月16日 「夜遊び」

不良のオカアサンは、昨日またしてもたぐちゃんをそそのかして夜遊び。

途中で呼び出されたダンナも加わって、結局家に帰った時は 魔法の馬車はとっくにかぼちゃに戻っていたのでした。

太郎は夜中遊びの真っ最中、 こわれたおもちゃ状態で家の中をぐるんぐるん駆け回り、 「どこ行ってたんだよう!」とやくざ歩きをしながら、噛み付きまくり。

ごめん、ごめんです、太郎。

でも元気はいっぱいなのだけれど、やっぱり目の具合が悪いので、 明日病院へ連れていくことに。

特に右目は目の周りが赤く腫れてきて、 自分でも気持ちが悪いのか、しきりに顔掃除をする。

左目は目やにも出ないので、 病気とは関係なく何か小さなゴミが入ったのかもしれない。

3~4日ぶりに体重を量ってみたら、約1500グラム。

見た目もすっかり2頭身から4頭身ぐらいになり、 猫らしいラインになってきた。

でもおなかだけはぷくんとしていて、子持ちししゃもっぽい。

どうかダンナやガンゾウみたいに「マグロ」にはなりませんように。

 

6月17日 「再びFVR」

午前中、Y動物病院へ行く。

話を聞きながらじっくりと目を診てくださった先生、 結膜炎を起こしていますとのこと。

何かバイ菌が入ったのではなく、 多分持病のFVRから来ているということだった。

じめじめと湿度が高い今ごろは、FVRのウイルスも活動しやすいらしい。

治療の時はどろりとした感じの薬をさしてくださったが、 これはかなり目にしみるので、 家では刺激の少ないさらりとした目薬を1日4~5回してくださいとのこと。

いつもそうだが、 こちらが聞きたいと思うことをいつも先生から説明してくださる。

いい病院にめぐり合えて良かったよね、太郎。

耳ダニの方も顕微鏡でみてくださったが、こちらはかなり 数が少なくなってきているということで一安心。

帰る間際に、FVRはこんなふうにちょこちょこと症状が出てくるけれど、 気長につきあってあげてくださいというようなことをおっしゃった。

それは前からわかっていたはずなんだけど、 ここしばらく調子が良かったので 何となく治ったかなと思いがちだったのも確か。

完治できればベストだけど、病気でいちばん不快なのは太郎自身なのだから、 太郎が居心地良く元気でいることを大切にして、 病気とうまくつきあっていけるようにしよう。

 

6月20日 「ご対面」

友達のコガワ嬢が出張に出ることになり、 プレーリードッグのポテとチョビをしばらくうちで預かることになった。

ポテはもう何度となく来ているが、 チョビはまだ1ヵ月ちょっと前に仲間入りしたばかりで、 うちでのお泊まりは初めて。

ちょこんと片手にのるぐらいの大きさで1年先輩のポテに比べると、 約7分の1ぐらいだろうか。

このこたち、鳴き声が「キャン」というので、 プレーリードッグと言われているが、仕草や、その挙動の傍若無人ぶりは、 犬というよりも完全に猫。

ぺろぺろと見づくろいをしたり、 退屈そうにあくびをして寝ころんだり、 それに猫たちと同じように耳のあたりをかいてもらうのが大好き。

お泊まり用に預かっているオームかごを出して組み立てている時から、 何が始まるんだと興味津々の太郎だったが、2匹がきたらもう大興奮。

「にゃ、にゃ」と小さなつぶやき声を出しながら、 かごの外をぐるぐる回り、 格子のすき間から手を出しては、さわりまくっている。

太郎、かみつき癖はすごいのだが、 爪は出さないのでひっかいたりする心配は多分ないと思うが、 もしものことがあるといけないので、 夜中はかごを猫部屋の方に移した。

猫部屋にいる7匹の猫たちは、 まったく関心を示さないのであちらの方が安心なのだ。

目薬をさそうとしても、ごはんをあげても、 あっちが気になって仕方がない太郎。

猫部屋に続く廊下のドアの前で、夜中遅くまでにゃおん、にゃおんと 太郎の声が響いていた。

 

6月21日 「三角関係」

今日は久々に4時過ぎに顔噛み攻撃にあい、まだ朝刊も届かないうちから 起きるはめになった。

でも今日はおなかがすいてではなく、 ポテたちのことが気になって気になって、という風情で、 朝ご飯も気もそぞろであっちに行かせろといってきかない。

とりあえず、太郎の目薬をすませ、リビングに掃除機をかけてからかごを 持ってきたら、うつろだった目はまんまるに黒々として、 もう興味はポテに集中。

だんなにも協力してもらって、かごの掃除をする間、 ポテとチョビを出したらいきなり猛烈なおっかけっこが始まった。

お互いにケガをさせないように注意しながら見ていると、 ポテを太郎が追いかけ、 その太郎をチョビが追いかけ回すという関係ができていた。

コガワ嬢によると、ポテはチョビがきてから若干情緒不安定気味らしい。

チョビがやたらにポテにちょっかいをだし、 かまいにいく。

でもポテの方はそれにどう対処していいものか、 困っているというか途方に暮れているというか。

チョビにまといつかれながら、視線はいつもあらぬ方を見ているらしい。

チョビが寝ると「ふぁーあ」という感じで、一息つくという毎日だそうで、 ポテはポテなりに、長女の悲哀を感じているようなのだ。

はたから見ていても、 ポテはちょっと地方で育ったおっとりちゃんという感じだが、 チョビは小ギャル風というか、「アタシー」と語尾を伸ばしてる感じ。

それがこちらにきてからは、チョビの興味は太郎に、 でもその太郎の興味はポテにあるらしく、 ぞろぞろ3匹がつながったまま、うちの中を走り回っている。

太郎はまだ目の縁が赤く目やにも出ているが、突然のお友達で 目はランランと輝き、エンジン全開状態。

ポテとは大きさもちょうど同じくらいなので、 遊び相手はこの子と決めたのか、一日中ポテにくっついていた。

でも3匹の中で、ポテだけはやっぱり迷惑そうだった。

 

6月23日 「ジャニーズ系」

今日は動物のボランティアをしている井上さんのお世話で、 友達のツヤさんにチビ猫を連れてきていただいた。

奈良の方から連れられてきたチビ猫2匹、 まぁそのかわいいことといったらどう言えばいいのか。

両方ともきれいなトラ猫で、ひとつは黒っぽい縞、 もうひとつは茶色というかセピアっぽい色の縞で、 だんなは一目みるなり「ううむ、これは…、ほんとにかわいいなぁ」 と思わずつぶやいていた。

普段太郎と他の7匹の大人の猫を見慣れているので、 太郎はちっちゃいというイメージでいたのだが、 この子たちと比べると太郎はすごくお兄ちゃんに見える。

それに何というのか、この子たちはまさしく美形、ジャニーズ系なのである。

太郎のもっと小さい時と比べても、 顔の大きさが違う、体つきが違う、手足が違う。

顔というか頭の大きさがこの子たちが小さ過ぎるのか、太郎が大き過ぎるのか。

体も小さいながらも猫特有のしなやかさがあって、手足もシュッとしている。

太郎のおっきな顔、太くて短い手足、ずんぐりとした体と比べると、 まったく種類の違う動物のようである。

リビングは、太郎にポテ、チョビにこの2匹が加わって、まさしく戦場と化し、 井上さんにゆっくりお茶も飲んでいただけない状態だったが、 ツヤさんがちょっと遅くなるという連絡があり、 セピアの方の子をいただくことにして黒トラチビは井上さんと帰っていった。

それからしばらくは、さすがに疲れたのか全員ほぼ同時に眠りこけ、 セピアチビはだんなの懐でいいこで眠っていた。

夕方ツヤさんが来られ、セピアちゃんを無事引き渡したら、 だんなも私もすっかり疲れてしまい、一同ぐったり。

晩ご飯も早めにすませ後片付けをしていたら、 リビングでだんなが太郎をつかまえ、何かしゃべっている。

そっと聞いてみると、 「太郎だってかわいいよなぁー、顔でかいけどなぁー、 だってハスキー犬だもんなぁー」といっていた。

2匹のジャニーズ系ちゃんたちに一瞬でも心奪われたやましさがあるのか。

だんなの耳元で「でも太郎は傷ついたよね」というと、 ぎょっとしてすたすた仕事部屋に引っ込んでいった。

でも、かくいう私も太郎を抱きしめ 「太郎ちゃんのこのふさふさの柔らかい毛並みは 誰にも負けないよね」と、言い訳をしていたのであった。

まったく浮気もんのチチとハハである。

 

6月26日 「横綱ポテ」

太郎の結膜炎はすっかりよくなった。

病院でいただいた目薬はまだあるが、 もう具合がいいので今日でひとまずお休み。

最近は午前中、ベランダでポテたちと日向ぼっこするのが、 すっかり日課になった。

といってもポテたちはベランダから落っこちるといけないので、 かごごとベランダに出るのだが、たろたろ(最近はこう呼ぶことが多い)が すぐ追っかけてきて、カゴの上にのり、ずっと一緒にいる。

わっしわっしと上まで上がってくるチョビとじゃれたり、 かごの上で横になってウトウトしたり…。

何だか3人兄弟のような感じ。

でもポテはやんちゃな他の2匹に疲れているようでもあるので、 夕方たろたろとチョビの2匹を別の部屋に隔離して ひとりで外へ出してやったら、 何だかほんとにうれしそうで、家の中を探険したり、ひざのところへ なぜろなぜろときたり、久々のひとりっこ状態を楽しんでいた。

普通動物はちっちゃい時の方がかわいいものだが、このプレーリードッグに 関しては大きくなった方が断然かわいいと私は思う。

くるんと丸くなるとドッジボールみたいになり、横綱ずわりをして ぽぉっとしてたり、ひまわりの種を両手に持って食べたり、 ぽってりとした体で動く様子は、猫にも人間にも似ていて見ていて飽きない。

まだチビのチョビは、体も細く横綱ずわりができないし、 目もぎょろんと大きいのでもっと大きくおでぶになったら、 かわいくなると思う。

うーん、でもこれはわが家特有の美的感覚かもしれない。

6月29日 「太郎はお母さん孝行」

2~3日前から?とは思っていたのだが、やはりそうだった。

太郎の朝の噛み噛み攻撃が、 3日ほど前からいきなり標的がだんなに変わったのだ。

だんなはなかなか認めようとしなかったが、 その頃から朝5時くらいに起こされてご飯をやっていたようで、 道理で朝私が起きてもご飯を欲しがらないわけだ。

でも寝起きの悪いだんなは、 最初噛みつきにくる太郎を私の顔の方に無理やり近づけ、 何とかその難を逃れようとしたらしいのだが、連日失敗に終わったらしい。

朝ご飯を食べながら「いったい、どうしてなんだ」と、太郎と私に向かって 詰問するが、相手にされない。

ふふふ、たろたろはお母さん思いのいい子です。

でも何をどう思って、太郎がそうするようになったのか、やっぱり不思議。

最近私は確かにちょっと疲れ気味で、起きる時間もいつもより 遅くなってはいたけれど。

それによく太郎をつかまえては、「お母さんは お掃除もしてご飯も作って、お仕事もあって大変なんだよ」と 言い聞かせていたのだが、それが効いたのか…。

疑問は残るけれど、 このたろたろのお母さん孝行が一日でも長く続くことを祈るばかりである。

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