「食っちゃ寝食っちゃ寝の怠け者親子の巻
本名:ぼん
年令:8歳半(推定)
種族:シマリス/オス
後見人:コージ/37歳 *家族は妻キエ(35歳)、息子(幼稚園)
ぼんは、もともとはキエが独身の時に一緒に暮らしはじめたシマリス。だから厳密に 言えば、後見人はキエということになるのだが。その暮らしぶりを見ると、コージが 後見人と言わざるを得ない。。
コージがキエに結婚を申し込んだ時、キエは二つの条件を出した。ひとつは息子(ぼ んのこと)も一緒にお嫁に行くこと、もうひとつは家事に協力を惜しまないこと。当 時は何故だか分からないが結婚したくて仕方がなかったので(コージ本人がこう言っ てます)、二つ返事でOKを出し、まずはつつがなく結婚。がっ、ここからコージの 献身的な日々が始まった。。
ぼん、という名前はその名からも想像できるが「お坊っちゃま」から来ている。昔、 高校生の頃も初代シマリスと暮らし、可愛がっていたキエ。その子が亡くなった時あ まりのショックで落ち込む日々が続き、7~8年経ってようやくその傷が癒えた頃に 迎えたのがぼんだった。キエにとっては、まさに目に入れても痛くない可愛い息子、 ぼん。前のシマリスの時は生活環境に問題があったのでは?という反省もあり、ぼん にはできるだけ健康で長生きをして欲しいという思いから、当初からぼん中心の生活 がスタート。
まず住環境は、ゲージもあるが基本的には放し飼い。そのためコード類はすべて天井 に這わせ、露出部分はしっかりガード。エアコンはほぼ年中稼働しっぱなしで、ぼん が口にすると危険なもの(ビニールや発砲スチロール等)はリビングに置かない。だ から一見こざっぱりした室内だが、普通の家にあるよーなカーテンもソファも敷物も ない。当初は少しはあったらしいのだが、シマリスはどこにでも潜り込む習性がある ので、次々に穴を開けられて順々に撤去していった結果、このよーなシンプルなリビ ングとなったのであった。また、綿やスポンジが入ってるようなものは、ぼんが食べ て腸閉塞を起こす危険性があるのでクッションや座布団の類いもない。その代わり、 深さ70センチはあるコージも入れる大きなコンテナ状のものがあり、中にはぼんが 潜れるように安全な木のチップが入れられている。これがリビングの主役。。
食生活、コージいわくこれがいちばんの問題だそーで。キエはまったく料理をしない いやできないと言った方がいいのか・・。彼女は食べ物に関しては全く無頓着で、お 腹に入るものなら何でもいいというタイプ(但し甘いものは大好き。特にケーキやプ リンなどの洋菓子系))。結婚当時はキエも勤めており、二人とも忙しい仕事であま り家で食事もしなかった。週末は週末で、たまった洗濯(キエが唯一得意な家事)や 掃除をして、食事は外食というパターン。どうしても白い御飯にお味噌汁、焼き魚の よーな純日本的御飯が食べたい時は、どちらかの家に食べに行ったそうだ(初めて炊 飯器で御飯を炊いたのは結婚後半年以上経った頃、という)。こんなキエだが、買い 物には結構マメに行く。なぜ?それは、もっちろんぼんのためである。ぼんの好物は さくらんぼ(できれば国産高級佐藤錦)にプラム、メロン、マスカットなどの果物、 但し中心に食べるのは種だけど。。その他、ぼんの主食のはと麦やヒエなどは、由緒 正しき無農薬か減農薬のものを探して購入。万事がこの調子なので、ちっとも料理し ない割には食費がものすごくかかる。普通どこの冷蔵庫にでもあるよーなモノ、卵と か牛乳、納豆などはないが、新鮮な果物はいっぱい、というのがここんちの冷蔵庫で ある。
こんな世間一般とはやや異なる、ぼんを中心として回るコージとキエの生活。
思い描いていたのとは少々(いや正直なとこ、かなり)違ってはいたものの、新たな キエ&ぼんを発見する毎日で、それなりに新婚生活を楽しんでいたコージ。しかし5 月末に結婚して、ようやく生活のペースも出来てきた9月にそれは始まった。それ? それは、ぼんの冬眠準備。冬眠・・、そうシマリスは冬眠する。それも野生の子なら ともかく、家の中にいる子が。シマリス初同居のコージも、当然そんなことは知らな かった(筆者も知りませんでちた。。)。
人間にとってはまだまだ暑さも感じる9月中旬、コージが帰宅すると、ぼんが忙しそ うにケージから部屋の隅のサイドテーブルへモノを運んでいた(モノとは、細かく裂 いたわら半紙、ユーカリチップ、牧草などの巣材で、これまたキエが安全性や利便性 から選りすぐったもの)。このテーブルは、ぼんの破壊活動や健康のために撤去され たものが多い中で残った、数少ないインテリアのひとつ。
殺風景なリビングで、コージが趣味としている怪獣のフィギアが飾ってあった、彼に とっては大事な場所だった。ほぼ正方形のそのテーブルは、片方の二辺がオープンに なってて雑誌や新聞などが入れられるのだが、ここもまたぼんが食べて腸閉塞になっ てはいけないということで空になっていた。これまでそのスペースにほとんど興味を 示していなかったぼんだったが、どーやらそこを冬眠の場所と決めたらしい。
で、それはあれよあれよと言う間に進んで、10月の半ば前に、ぼんは冬眠に入った (シマリスは冬眠する子もいればしない子もいる)。ただ冬眠と言っても、クマのよ うに予め食いだめして体脂肪を増やして長期間眠るのではなく、時々起きては自分で 貯蔵した餌を食べて眠る、というまさに食っちゃ寝状態。かさこそという音に気づい てテーブルの中を覗くと、ぼんがぼぉーっとした顔で餌を食べているのを見て、コー ジはここだけの話、随分都合の良い冬眠だなと思ったそうである。
そして結婚後2年、キエが妊娠して仕事をやめた。キエのご懐妊が判明したのが8月 下旬、その時点で約妊娠3か月。ほどなくぼんの冬眠準備が始まり、また食っちゃ寝 の冬眠がスタート。でもこの年の冬眠はぼんだけじゃなく、愛妻キエにも始まった。
コージが帰るといつも、くかぁーっと寝ているキエ&ぼん。時折ぼーっとした顔で起 きては、バクバクと食べてはまた寝る。少しキエの体調が悪かったせいもあり、献身 的に働くコージ。朝は、巣穴テーブルの中のぼんの様子を見て、トイレを掃除したり (ぼんは巣穴にもちゃんとトイレを作った)、冷蔵庫の中をチェックして食べ物があ るかどうかを確認。夜は買い物を済ませて、食料を補充しキエ用の簡単な食事を作り 置きしたり掃除をしたり。。
時折、ふらふらっと起きてきて食べるキエと二言三言話してみるものの、食べ終わる とまたすぐ寝てしまう。。こんな苦渋と孤独の日々を耐えて、やがて年が明け春が来 て、ぼんの冬眠が終わった頃、しばらくしてキエも無事にご出産。
いやぁ、めでたしめでたしっ。と行きたいところだが、実のところその後もあんまり 状況は変わっていない。早い話、冬眠期だろーがなかろーが、キエ&ぼんの食っちゃ 寝食っちゃ寝生活は変わらなかった。場所を選ばず無防備にくかぁーっと寝ている姿 や、のそのそと起きて食べる姿は、まさに親子生き写しの怠け者ぶり。人間の息子の 方は、幸いにとゆーかコージの気性を受け継いだよーで、お片付けもするし寝ている ママにタオルケットをかけてあげるやさしいお子に育っている。
変わったところと言えば、息子の部屋がリビング化したこと。相変わらずがらんとし た固い床剥き出しのリビングと違い、柔らかい敷物を敷いてクッションもあって居心 地が良いので、親しい友人もまっすぐこの部屋に入るらしい。
周りからは、この夫婦大丈夫だろーか?と心配されているが、コージ曰く「やってみ たら家事も嫌いじゃないし、自分ってこーゆー性格だったんだと発見した」そうで、 これもキエと結婚しなかったらわからなかったかもとおっしゃる。うーん、前向きな 人。。でもって、キエのお腹には、現在第二子が。お幸せなのね。。。
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