テレビ万有時報vol.71
「セツナイ40代・・の巻」

すっかりコメンテーターが板に付いた高木美保さんが、11年ぶりにドラマにご出演。
長らく女優業から離れていた彼女をその気にさせたってドラマって?と興味を引かれて拝見してみたのが「ひとがた流し」(毎土夜9時〜、NHK総合)。
原作は北村薫さんの同名小説で、独身で局アナの千波(沢口靖子)、シングルマザーの牧子(松田美由紀)、子連れ再婚した美々(高木)の40代の女性3人の友情を描くというもの。
30代を描くドラマは結構あるのに40代は何故かドラマでは取り上げられないから、という企画意図にも「そう言われればそーね」と思いながら見始めたのですが・・。
正直、出だしの印象は「ああやっぱ、NHKだわん・・」と(笑)。
お行儀が良いというのか落ち着きすぎてるというのか、リアリティーに欠けるというか。
だって、3人で撮った高校時代からこれまでの写真が何枚も写真立てに入れて飾ってあるのよん。
恋人や家族とか、ペットもまだ分かるけど、女友達との歴代スリーショットって・・うーん、有り得ないなぁ。
それに25年来の親友という割には、交わされる会話が何だか他人行儀。
もっと辛辣だったり、ちょっとは妬みとか虚栄心とか足の引っ張り合いとか『林真理子的な女の裏世界』があってもいっかなーと。
とりあえず自分には響いてくるモノがないかも・・と思っていたところ、千波が乳ガンと分かったあたりから、ちょっとずつ引き込まれて行きました。
テレビ局に入って20年、ようやくニュース番組のメインキャスターという長年の夢が叶おうとした時、牧子に誘われて軽い気持で受けた人間ドッグで自分が乳ガンだと知ってしまった千波。
それも温存方式ではなく、右側の乳房を全摘する手術をすぐにでもすべきと医師から告げられ、一人思い悩む。
でも、ほどなく牧子と美々に気づかれ、二人から手術を受けるようにと説得されるのですが・・。
『仕事より命が大事でしょ?チャンスはまた来るよ』と正論で詰め寄る二人に、「私がここまで来るのにどれだけの思いをしてきたか、あなたたちには分からないっ」と言う時の千波がね、すごく生々しくてドキリとしてしまいました。
局アナと女優という違いこそあれ、結婚せず子供も持たずこの道一筋でやってきた沢口さん自身の思いも、このシーンには相当込められていたんじゃないかしらん。
・・というのはあたくしの勝手な想像ですが、その時の表情は静かな迫力に満ちていて、ホント印象に残りました。
役柄とほぼ実年齢も近い3人の女優さんたち。
若さばかりがもてはやされがちなこの国では、いろいろ難しい面もあると思いますが、この年代だからこそ出せる微妙な切なさや情感、たっぷり見せて欲しいものです。



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