テレビ万有時報vol.41

「晩秋の名優・・の巻」

妻の葬儀を終え、疲れて縁側でうたた寝する老人の口からピューっと噴き出すヨダレ・・。
たらぁっとではなく、ホントにミニ噴水みたいにピューって出てくるこのシーンで「うわぁ・・さすが三國連太郎さんだわ・・」と感心してしまいました(笑)。
これは「松本喜三郎一家物語〜おじいさんの台所〜」というSPドラマでのこと(5/4(金)フジテレビ系で放送)。
三國さんや安田成美嬢(三女・夕子役)が久々にテレビドラマに出演されるというので興味を持ったものの、変に熱いホームドラマだったらご遠慮するつもりでしたが、最初の方のこのシーンでキュッと掴まれちゃって最後まで拝見。
妻に先立たれた老父のこれからを案じる4人の娘。
経済的に余裕があり夫の理解もある長女が『うちで引き取る』と言うけれど、喜三郎は妻の一周忌まではこの家で独りでやっていくと宣言。
それならと、長女が差し向けた家政婦さんや宅配弁当は『他人に家に入られるのはイヤだ』『プラスチックに入った餌みたい』と拒否。
それに『他家に嫁いだ娘の世話になるわけには行かない』という、大正生まれの喜三郎らしいこだわりもあって、結局独身の夕子(安田)が炊事、洗濯、掃除の仕方をいちから教え、何かれとなく面倒を見ていくことに。
途中では夕子のやり方に怒って喧嘩したり、振り込め詐欺に遭いそうになったり、ボヤを出したり・・いろいろあったものの一周忌の場で『もう1年、独りでやってみる』と再び宣言してジ・エンド。
騙された喜三郎が銀行へ向かう途中で、偶然訪ねてきた夕子と出会って事なきを得たり。
夕子がバリバリのキャリアウーマンで、それも雑誌の編集者だったり。
彼女に思いを寄せる幼なじみの魚屋の勝田さん(山口智充)がすごく良い人で、喜三郎のことを何かと気にかけてくれたり。
そんな『ドラマ的偶然や設定』に、時々うめいてましたが(苦笑)、高齢化、独居老人という現代的なテーマでありながら、古き良き日本の香り漂う品良く後味の良いドラマでした。
特に良かったのは、あくまで「おじいさん」の視点で描かれていたところ。
家庭を顧みない50代の父(夫)が主人公で、ある日仕事で挫折〜そしたら問題ないと思い込んでいた家族もそれぞれ秘密やトラブルを抱えていて・・みたいな家族再生の物語はよくあるけれど、80代の男性というのはホント珍しい。
それを、喜三郎とほぼ同年代で、滅多にこんなフツーのおじーさん役をされない三國さんが演じられたってところが、やっぱり最大の見どころでした。
身近にいないので80代の男性ってよく分からなかったのだけど、筋肉の落ちた身体、多分メイクなどではない浮き出たシミ・・現在84歳という三國さんの存在そのものが、リアルで多弁で、切なくもあり、でも力強くて。
「いや現実はこんなものじゃない」と言うリアリストさんもおられると思いますが(いつもは自分もその類ですが)、厳しく壮絶な現実だけでは人は生きられないもん。
あ、でも、たった1年で家事を完璧にこなせるようになり、主婦も苦手な天ぷらまでカラッと揚げちゃうじーさんは、そうはいないとは思います・・。



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